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2005年10月11日 (火)

MR-4-F  その3

 長々とありがとうございました。MR-4購入記「うちのお嬢」その3です。

 店を出ました。早速乗ってみましょう。何しろロードレーサーです。確かに段差には弱いようです。段差に気をつけながら恐る恐る歩道を走りました。感想は「普通の自転車じゃん」次は車の通りの少ない道を選んで走りました。20分くらい乗ったでしょうか。「いい自転車を買ったかもしれない」と思い始め、楽しくなってきました。その直後です。自分でも予想もしなかったことが起こりました。数年前にした引越しをきっかけに、それまで乗っていたMTBは、実家の物置にしまいこみました。それ以降、自転車にはとんと乗らず、もう本格的に自転車に乗ることは無いだろうと思っていました。久しぶりの自転車、知らない道の散策、そうしているうちにいろいろな感情や記憶が、気持ちよく回るMR-4のタイヤをとおして忘れかけていたことが蘇って来ました。かつて自転車で走っていた頃に見た光景、感じた風。最近では携帯やPCなど、新しいのが出ると買っては喜んでいました、そういうIT機器を手にする以前に自分が親しんでいたもの。例えば、アパートの庭の一角で土いじりをして、野菜を育てていたり、朝に夕に遊びに来る三つ子のねこの世話をしたり、そうした自分の生きてきた歴史みたいなもの、土や命ともっと身近に触れていた自分の原点とでもいうべきものが、脳裏に映像として「ドドドーッ」と一気に流れ込んできました。びっくりしました。携帯やPCが悪いわけではありません。けれどそういうのに血道をあげていた自分が、その時どこか薄っぺらなものだったように思えたのでした。時間にしてほんの2~3秒、もっと短かったかもしれません。一度に押し寄せたので、暫く自転車を止めてしまいました。大きく深呼吸をしました。休んだ後に気がつきました。どうやらすごくいい買い物をしたようです。新しい自転車の生活が始まる予感がしました。不思議な体験でした。このまま帰るのは惜しい気がして、町田から恩田川、鶴見川を下って同じ道を戻る予定を変更して相模大野―大和を経由する遠回りコースで我が家まで走りました。

 折りたたみ自転車を輪行する、部分的な自転車通勤を考えていました。これなら部分どころか全行程走れそうです。数年ぶりに自転車通勤を再開しました。しまっていた13年来のつき合いの古女房とでもいうべきGTのザスカーも復帰させました。始めは交互に乗りました。自転車に乗せる「エンジン」が同じなので、所要時間などに劇的な違いはありませんでしたが、MR-4の方が疲れないことに気がつきました。細身のタイヤ、軽い車重が良かった感じです。今ではもっぱら通勤に使うのはMR-4。心地よく走ってくれるので、食わず嫌いだったロードレーサーへと食指が動き始めています。気にかけていた黒いフレームも見慣れてくると味わいを感じます。しかしこれ、フレームといわずどこもかしこも黒いのです。スポークまで黒いのには驚きました。ネジ等、黒い物が無い部品以外はすべて黒。可能な限り黒でまとめたかったようです。夜間のステルス性はかなりのものです。きっと本国台湾では折りたたみ機構の携帯性とステルス性を生かして、スパイ活動にでも使うのでしょう。私の仕事はあいにく諜報活動ではないので、部品交換等する時は、明るい色の物を選んだり、反射テープを貼ったり、前後にライトを付けたりして視認性を高めています。

MR-4が来て3年が経ちました。今は週に3~4回、片道25キロの通勤に使っています。こんなに頻繁に使うなんて始めの計画には全くありませんでした。通勤帰りにスーパーに寄ることもあります。買い物をして駐輪場に戻ると、ママチャリやMTBモドキ(?)の中に佇んでいます。その姿をそれらと比べると、単体ではあまり感じませんが、とても小さく見えます。しかし、ここにあるどの自転車よりも速く走れます。黒いフレームが更にそのイメージを演出してくれます。うちのお嬢、色黒の台湾娘。小さいけどタフです。

 このあと本物のロードレーサーという自転車はどんな感じだろうと興味を持ちました。

MTBの調子が悪くて、古いしもう寿命が近いかもという危機感がありました。後継機が欲しい、それならロードだろうと注文したのですが、修理をお願いすると新車同様・・・というと大げさかもしれませんが、「まだまだいける!」と思えるほどの復活を遂げました。それで自転車は3台になってしまいました。只でさえせまい部屋がさらにせまくなってしまったので、MR-4はその折り畳み機構を活用して・・・部屋の片隅に畳まれて収納されています。休業中です。折り畳み自転車は、乗ってよし、輪行してよし、そしてしまってよしです。いずれ出番のその日まで、今はお休みです。

 MR-4を買ったばかりのころ、とにかくこの新車が嬉しくて、自転車に関する本を手当たり次第に読み耽りました。そんな時、手にした雑誌にこのMR-4を「羊の皮をかぶったチーターだ」と偉く褒めている人がいました。「分かってる人がいる」その人に注目しました。『自転車ツーキニスト』なる言葉の発明者、自転車通勤を始め、自転車の楽しみ方、社会とのかかわり方等、様々な角度から自転車を考え、発信し続けている疋田智氏でした。氏の著書やHPを読んでいるうちに、学習院で自転車の講座を開いていることを知りました。早速参加しました。講義が面白く、学ぶことの多かったことは勿論ですが、講座に参加した人達との交流が深まるとは、正直思ってもいなかったことでした。ツーリングや、メールでのやり取り等が続いています。ブログというものがあるということもこの交流を通じて知りました。そう、このブログもこの出会いをきっかけに始めたのでした。

 ちょっとした買い物用にしようとした自転車購入の計画が、二転三転してしまいました。予算も大幅にオーバーでした。しかし、思いもかけずその後の人生に影響を与えてくれたのでまあ善しとしますか。自転車通勤を再開して、風邪をひかなくなりましたね。健康面でもプラスです。電車というものに乗らなくなりました。交通費はかなり浮きました。これで、元は取れたかな?・・・新車買ったからオジャンか。

 

 本日の自転車走行距離  50キロ

 家を出てから帰るまでに見たねこ 2

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コメント

ええと、誰だかわかっていただけますでしょうか?

しかし、良い文章を書かれますね。
自転車を通じてよみがえる過去の記憶。
日本という国はどうして自転車を「子供の」「お年よりの」乗り物としてしまったのか。
そして、様々な雑誌も発刊されている最近ではそうでもないのかもしれませんが、やはり自転車は「学生」や「お金の無い人」の乗り物とする方向があるみたいです(少なくとも私のまわりでは)。

「10万円の自転車買っちゃったよ!」
「バイク買えるじゃん」
・・・最もダメな回答です。
「良さ」が分かるには、ほんの一歩なんですけどねー。

あ、説教くさくなっちゃいました。すみません~(笑)。

投稿: xida | 2005年10月12日 (水) 00:31

ねこじまんさんの、自分に起きた変化というやつ、よくわかります。「そう!そう!そう!」って感じで。私も似たような体験をしましたよ。
新型の電子機器にも飛びつかなくなり、日本の地理や歴史に興味が湧き、自分の体調に敏感になりました。自分が大自然の一部であることを確信できたというか、そんな感じです。
自転車を漕ぐことで、今まで麻痺していた脳ミソの一部分が刺激され活性化されるのかも知れません。
おそらく疋田さんの言う「ちょっとした革命」「自転車的なる何か」というやつでしょうね。

xidaさんの「バイク買えるじゃん」って私も言われます。分かってないですよね。ホント勿体無い。

投稿: komachi | 2005年10月13日 (木) 01:28

xidakさんコメントありがとうございます。コメント投稿者第1号です。MR-4で走り出した時のあの不思議な感触は忘れることが出来ません。

投稿: ねこじまん | 2005年10月13日 (木) 07:48

komachiさん、ありがとうございます。あんなおかしな体験をするのは自分くらいかと思っていました・・・。
自転車の乗る人は、それぞれにいろいろな体験をなさっているのですね。

投稿: ねこじまん | 2005年10月13日 (木) 07:51

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